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生原稿の市場価値

記念館に、有名人の日常品や手紙などが飾られていることがありますよね。私は今までそれをただ「すごいなあ、これが誰々が使っていたものか」などと見ていたのですが、ふと「もしこれを買うのなら、いくらくらいだろう」と思いました。著名なあの人が使っていたとわかると、付加価値がつくこともあるのだと聞いたことがあります。たとえば文豪の生原稿とか、何十万のレベルではないですよね?
そもそも記念館というくらいですから、おそらくは寄付で成り立っている気はするのですが、それにしても、市場価値を考えると恐ろしいです。ただそういう目で見てしまうと、最初の「誰々のものだからすごい」という感動が、金額面での驚きにすり替わってしまう気がします。それはそれで、わかりやすいびっくりではありますけれどね。
そういえば以前芸能人の方も「将来僕が有名になれば、百年後とかにすごい額で売れるかもしれない」と言いながらサインをしていました。冗談半分の言葉だとは思いますが、これも、先ほどの市場価値の話につながるのですね。自分はもうおそらく生きていない未来で、当たり前に使っていた物や友人に書いた手紙などに、素晴らしい価格がついているなんて知ったら、昔の著名人たちはどう思うのでしょう。

自分で作れる幸福の連鎖

好きなものに対してアンテナが高くなるのは、どうやら脳がそれを特別に意識するかららしいですね。本で読みました。今までは理屈は特に考えず「そういうものなのだろう」と思っていたのですが、その仕組みを聞いて深く納得しています。この理論の応用で、「毎日楽しい」と自分に言い聞かせて思いこむと、そのうちに、楽しいと感じるような出来事がたくさん目につくようになるのですって。とても素敵なプラスの連鎖ですよね。
これほどではありませんが、私も似たようなことを経験しています。世の中、誰にでも虫の居所が悪い時はあり、家族ともなればケンカをすることもあるでしょう。でもそうやってついきつい言葉を投げかけるのを、意識してやめてみたんです。ぐっと堪えて深呼吸を一度して、あとはそのまま、他のことをして忘れてしまいます。そうすると、驚くほどケンカの数が減り、嫌なことは大体見逃せるようになりました。
前は「あれが嫌だ」と考えていたから、ちょっとのことでもいらだっていたのでしょう。いらいらするとその後の生活にも影響するし、いいことはありませんからね。この変化は自分のことながら、素晴らしいものだと思いました。このように変わることができた自分自身もまた、素敵だと思います。